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幸水の子房。
正午近くから雨。強い降りではないものの、仕事の邪魔になるのは同じだ。豊水幸水も花を落として子房を膨らませつつあり、受粉が問題なく終わったと知って一安心。ここから先は、梨の成長に充分な水が要る。水を供給してくれるのが雨雲なのだが、仕事の邪魔はしてほしくない。身勝手とわかっていても雨は深夜だと助かる。
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山国梨棚豊水幸水園
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幸水の落花。
幸水の花が風に煽られて落花の最中。幸水は豊水の合間に植えられて、それほど多くないため花吹雪というわけにはいかないが、白い花が散る姿はなかなか綺麗だ。1年でも最も気が抜けない受粉がようやく終わって、放心しつつ花を見、どこかぼんやりして剪定の続きをやっている。冷たい指先を温めながらやる剪定ではなく、暑さに服を脱いでやる剪定にはもう焦りがない。このまま摘果に流れ込んでいくだろう。
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山国梨棚豊水幸水園
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貰ったミカン。
寒かった日が去って、暖かい日が続くこの時期、すれ違う農婦さんからミカンをよく貰う。暑い日は25℃を超えるから喉の渇きにミカンを積むようになるのかもしれない。セットで貰うのは、これまたなぜか缶コーヒー。そしてミカンの品種を訊いても誰も知らないのだ。果汁が零れず乾いているけれど、やたら甘いミカン。酸っぱいが果汁が垂れるミカン。どれも美味しいのも共通している。
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山国梨棚豊水幸水園
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花を乗せて走る。
受粉が終わった翌日の今日、防除をやった。スッキリ晴れた空。農薬散布車を動かしているのはここだけではないようで、複数のエンジン音が聞こえ、そしてどの車両も500ℓタンクに大量の花びらを乗せている。散布車は加圧した空気で農薬を散布するため強い風を枝葉に吹き付ける。そのせいで受粉を終えた花が小雨のように舞い散るのだ。ようやくひと段落ついてホッと一安心と言いたいところだが、新高の受粉でどれだけ実を着けてくれるのか、ずっと気になっている。
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山国梨棚豊水幸水園
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ハコベと廃タイヤ。
フグリの次はハコベが満開だ。まだ花が裂けておらず5枚の花弁。その奥にあるのは廃タイヤの山だ。どこかで処分したいが面倒でやっていない。この廃タイヤは、その昔、春先の梨棚を温めるため早朝に燃やされたようで、霜避けとして利用されたらしい。今年は新高が霜で深刻な被害を被った。あの日にタイヤを燃やしておけば、あるいは結果が違っただろうか。
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山国梨棚豊水幸水園
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クマバチ戻る。
久しぶりの暖かい日。陽射しが戻ると、虫たちも戻った。クマバチにハチアブ。受粉を助けてくれる訪花昆虫だ。今年の受粉は明日で終わり、そのあとは防除の予定なのだが、アブラムシ対策の農薬が彼らにどの程度の影響があるのか気になる。受粉を手伝ってくれる虫に悪影響はほとんどないと農薬の説明文にはあるけれどゼロではない気もする。花が散ったあとも蜂たちは梨棚に残って付近の花を飛び回ってはいるのだが。
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山国梨棚豊水幸水園
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雹の弾痕。
雹が降ったようだ。それもけっこうな大きさ、そして量だ。こっちは知らずにいたところ、隣の梨棚の農婦さんがおしえてくれた。梨棚を見ると花が散って地面に溜まっており、出たばかりの葉があちこりダメージを受けている。子房が膨らんでからでなかったのは不幸中の幸いだと言えるが、これから先また降るかもしれない。柔らかい葉は雹の弾丸に撃ち抜かれて丸い穴が空いているものもある。寒気を伴う低気圧と雷雲。これが揃うと高い確率で雹を降らすような気がする。
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山国梨棚豊水幸水園
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新緑。
激しい雨の合間に太陽がさっと照りつけ、そのせいか緑がやけに美しく見える。運転していて気持ちがよいけれども、今日の受粉は足踏み状態だ。明日もどうなるかわからない。雨が止む頃には花が散り始めているだろう。新高の霜害といいこの天気といい今年は最悪だ。
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深耶馬溪一目八景
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幸水の花粉。
新高の受粉が終わり、豊水幸水の受粉に取り掛かっているが、気紛れな天気と気温に悩まされる。おまけに合間に防除も入れなければならず焦る気持ちばかりが募る。豊水幸水は混植してあるので互いの花粉でそれなりに受粉は完了するのだが、受粉率を安定させるために人口受粉はやったほうがよい。とはいえ明日は雨だし気温も上がらない。翌々日も雨が残る予報だ。開き直りの気分になりつつ、山を下りる前に、幸水の花粉を回収した。数日前まで賑わっていた開葯小屋は誰もおらず、開葯待ちのトレイもなかった。ただ1人、黙々と花粉を集めて瓶に詰めた。
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山国梨団地開葯小屋
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豊月開花直前。
豊月が開花しそうだ。数は少なく、おまけに接木だけなのだが、十分に成長して亜主枝が数本あり、収穫もそれなりにある。新高がおそらく壊滅している中で、葯を赤くさせて開こうとしている蕾は力強く感じる。そして不思議なことに、豊月が接木された新高のみ、新高の霜被害がほとんど見られないのだ。何かしら理由があるのだろうけれど、子房が下り、成長する時期まで待たないと生存の結果はなんとも言えない。
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山国梨棚新高園
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崩れそうな空。
雨が降りそうだが降らない。ときどき太陽が顔を覗かせ、かと思えば黒い雲が広がる。雨が降れば人工授粉は出来ない。ならば降り出すその瞬間まで作業を進めればよい、というわけにもいかない。集めた花粉は赤松子という、薬で言う基剤のようなもので量を増して使用する。この花粉は日を跨いで使えないため、途中で雨に降られると廃棄することになるのだ。どのくらいの量を用意すればよいのか、降り出す時間を正確に知らなければならず、そんな天気予報は今のところない。結局、降りそうであれば花粉を用意しないとなってしまうのだ。
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山国梨棚新高園
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満開の台木。
台木も満開だ。小さな白い花を無数に咲かせて、まわりの新高の受粉率を高めてくれるのだが、最終的に枝を落とし、花粉樹を接木する予定だ。順調に成長している台木は伸びが早い。来年の剪定では枝を更に張って隣の新高に届くだろう。このままでもよいかな、とも考えるけれども花粉樹の乏しい園では花粉の確保が最優先だ。来年はこの小さな花を見なくなるかもしれない。
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山国梨棚新高園
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立羽田の景。
玖珠町と山国町の間に立羽田の奇岩群が見られる。毎朝この山を通過して山国の梨棚へ向かうのだが、景色がとてもよい。奇岩の周りには下生えのない雑木林があり、雰囲気がとてもよいのだ。現在、蛇行する狭い道を拡張する道路工事の最中で、工事が終われば走りやすい道からこの景色が楽しめるだろう。自宅から山国までが遠くなってしまったので、景色のよい道はよい気休めとなって目を楽しませてくれる。
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玖珠町立羽田
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新高、開花直前。
新高の開花が近い。午前中に農薬を散布し、昼頃に新高園にある農具小屋へ移動すると、緑の点だった蕾が先を白くして膨らもうとしている。開花となれば受粉開始となるのだが、空模様がどうにも不安だ。毎年受粉時期は雨に悩まされるもので、今年もそうなりそうな気がする。開花後、受粉に最適な期間はだいたい5日間ほど。雨が続けば受粉の機会を失う。悩ましい1週間となりそうだ。
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山国梨棚新高園
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新高の霜害。
新高が霜にやられた。朝一で日田市の梨師匠から連絡があり、日田市では被害が大きいらしい。師匠は連絡のあと山国町まで来てくれ、山国梨棚の状態を診てくれた。結果はよろしくない。すべての花がやられているわけではないものの、看過できない被害となる可能性がある。蕾を爪で割ると雌しべが黒く汚れ、花は咲くけれど梨として結実しないのだ。これから受粉を控えて頭の痛いところだ。
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山国梨棚新高園
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花摘み3日目。
花摘み3日目。晴れで開始し、気温が下がって曇りで終えた。収量は3日間で最大のコンテナからこぼれ落ちるほどの花が摘めた。終わり近くになって本日分の花を摘み終えた農夫さんらが手伝ってくれたのが大きかった。そのぶん開葯作業が長引きはしたが、嬉しい開葯となった。明日が花摘みの大詰めとなるだろう。その後は新高園に少量ある花粉樹、そして幸水の花摘みで、心許ない花粉量をちょっとでも増やしたいところだ。
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山国町東部梨団地
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花摘み2日目。
花摘みの2日目。天気はグズついて花がいまいち開かない。午後になって太陽が出てからようやく蕾が膨らみはしたが、摘んだ花を開葯せねばならず、今日はそこまでとなった。天気がなかなか見方してくれない。特にこの時期は雨が多く、このあとに控えている受粉まで空模様には悩まされる。雨が降ると花が開きやすくはなるらしいのだけれども、気温と合間ってなかなか思うようにはいかない。
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山国町東部梨団地
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試しの花摘み。
午後から試しに花摘みをやってみた。気温が上がらず曇天、寒くさえ感じるせいか開花が鈍い。それでも枝によってはもう摘める状態にあるため、効率は非常に悪いけれども摘み取りにかかった。結果は少量。3時を過ぎたあたりで雨が降り出したのもあって、コンテナに僅かに溜まった花を開葯機に入れて1日を終えた。明日から摘み取り本番のつもりでいるのだが、気温や空模様が気になる。雨は勘弁してほしい。
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山国町東部梨団地
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セイヨウタンポポ。
寒い朝だった。こんな日に防除でスタートはついてない。500ℓの水を積んだ車両で梨棚を走るのだ。霧状に噴霧された水は車両を包み、それが風に煽られて全方位から操縦者に降りかかる。水温はたぶん5℃前後。冬装備の上から合羽を着ていても体温が奪われていくのがわかる。とくに指先はゴム手袋ごしに凍りついたように冷たい。そんな朝でも、轍の先にタンポポが咲いていた。直進すれば踏み潰してしまうだろうから、ぎりぎりで避けて防除を続ける。茎のごく短いせの低いタンポポはセイヨウタンポポらしい。寒いから暖まるのが早い地面近くに花を咲かせるのだとか。
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山国梨棚新高園
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満開の桜の合図。
寒空に桜が満開だ。数日以内に花粉樹も後を追って満開となるだろう。暖かい日が続いたあと急に冷え込んだので多少のズレがあるかもしれず、これに花摘みに防除と空模様が絡んで予定が立てにくくなる。花摘みは動かせない。最適な日に花を摘んで花粉を精製する。しかし、農薬の散布も動かせないのだ。菌が動き始めるこの時期にしっかり叩いておかなければならない。そして雨が降ればどちらも出来ない。天気と気温の変化にナーバスになって残した剪定どころではなくなる。満開の桜が、忙しくなる農作業開始の合図だ。
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山国町コロナ運動場
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接木してみた。
午前中に肥料を入れてから接木をやった。1月に花粉樹から切り取っておいた枝を、花芽ひとつづつ切り離して台木の苗木に刺した。なぜこんなことをするのかと言うと、花粉樹のヤーリーが手に入らないからだ。中国産の輸入花粉が火傷病を発症しやすいらしく利用が禁止されて1年。花粉は自前で要しなければならなくなった。ところが充分な量の花粉を自前では用意できない。だから花粉樹を接木で増やす、というわけだ。うまく行くかわからないが、とりあえずやってみて結果を待つことにした。
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山国梨棚新高園
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小雨と黒猫。
小雨がぱらつくと黒猫が来た。小屋に雨宿りに来たのだろう。今日は少し寒いし雨に濡れたくないのは猫も同じか。パンツのポケットに入れていたビスケットを砕いて口へ運ぶと食べる。食べ物をやるとしつこく付き纏われるから、いつもなら何もやらないのだが、今日は珍しくクールな様子で小屋の梁に上がってしまった。雨はしばらく降り続き、夕方になってようやく青空が広がった。週末は冷え込むらしい。そうなると花粉樹の満開が少し先延ばしになるかもしれない。開葯小屋の開葯機の電源を入れたと農夫さんから報告があった。いよいよ梨農家の1年が始まる。
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山国梨棚豊水幸水園
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花粉樹の開花始まる。
山を下りるとき、ここ毎日必ず確認しているのはヤーリー(花粉樹)の花芽。花摘みが近いからだ。そろそろ蕾が膨らむだろう、の軽い気持ちだったのだが、もう開花が始まっていて、これには焦った。他の農夫さんの花粉樹はまだ静かだし、僅か1日でこの変化は初めて経験する。このぶんだと30日あたりから摘めるかもしれない。また予定が大きく狂ってしまった。
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山国町東部梨団地
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なつしづくの花芽。
天気が良かった今日、花芽が一斉に蕾を覗かせた。もう1日くらいは静かにしていると読んでいたが明るい緑の点が遠目にもよく見えるほどだ。特に、なつしづくの花芽は葉を外周に、内側に蕾を包んでいるから葉の伸びが早い。このあと時間が経過するほどに剪定がやり辛くなる。葉が開いてしまうと枝が見えにくくなるし、落とした枝は燃えにくい。熟練の梨農夫さんらはとっくに剪定を終えて花摘みを待つばかりだというのに、仕事を遅らせているこちらは、なんとも情けない気分だ。
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山国梨棚豊水幸水園
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立ち上がる雑草。
雑草の伸びが早い。大雪が降ろうとも止まる気配がない。花摘みが始まる頃には膝ほどまで成長するだろう。花摘みから受粉、そしてまだ終わっていない剪定に追われてしばらく雑草の相手をしている暇はない。防除の邪魔になる程まで伸びてようやく草刈りに取り掛かれる感じか。今年も春先までの仕事が後手になってしまった。
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山国梨棚豊水幸水園
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白い大きな花。
大きな白い花はハクモクレンだろうか。枝がバルコニーに乗ろうとしているので、冬のうちに切り倒してしまおうかとも考えたが、そうしなくてよかった。30分ほど雨が激しく降り、その後晴れて、白い花がやけに鮮やかに見える。今日は山へ上がらず、梨棚メンバーに手伝ってもらって大きな家具を引っ越し先へ運んだ。引っ越しの後で山へ戻るか悩みつつ、白い花の枝を落としているうちに空は次第に暗くなっていった。
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日田市天ヶ瀬町
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花芽が割れる。
急に暖かくなって花芽が動き始めた。ほとんどの花芽はまだ固いままだが、動き出すと早いのは経験済み。まずごく小さな蕾6〜9個が飛び出し、続いて針のように細く筒状に畳まれた葉が姿を見せる。この小さなセットが夏になると梨棚を覆い尽くして太陽光を遮るほどに成長するのだ。ここから花摘みまではすぐだ。剪定を急がないと。
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山国梨棚豊水幸水園
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今年の初防除。
年が明けて初の農薬散布をやる。天気はよく、梨棚に到着すると早速SSのエンジンをかけた。早く終わらせればそれだけ剪定の時間にまわせる。まず新高園までSSを移動させて防除を開始したのだが、どうにも風が強い。新高園は坂と山の窪地にあって風の影響を受けにくいとはいえ、噴き上げた農薬が風に煽られる。この調子だと豊水園だと防除の効果が削がれてしまうだろう。ということで豊水園は明日へまわすことにした。去年もたしかそうだった。この時期は毎年風がやけに強いのだ。
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山国梨棚新高園
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暖かい1日。
大雪から1日。あれだけ降り積もっていたのは山間地の高いところのようで、幹線道路まで下ると雪はもう残っていなかった。朝の農道は雪が固く凍りついて怖く、急なカーブでは軽トラが滑った。これからぐっと暖かくなるらしが、早く雪の心配せずによくなってほしい。これ以上選定を遅らせるわけにはいかないのだ。
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中津市耶馬溪町
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大雪の日。
朝目覚めて驚いた。想像していたよりずっと多い雪が積もっていたからだ。コンクリートの急坂が多い土地だから道は凍結しているだろう。車はとても動かせない。軽トラの狭い屋根には30cmほど乗って荷物に見える。そしてやけに冷え込んでもいる。最悪の場合を考えて食料と煙草を数日ぶん買っておいてよかった。今日は家に籠るしかないようだ。
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日田市天ヶ瀬町