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静かな夕方。
剪定にようやく終わりが見えてきた。遅れに遅れてしまい、摘果をやりつつだからこれがまた進まない。気がつくと日はとっくに傾いて尾根に隠れつつあり、気温も下がって上着が欲しくなる。この過ごしやすい時期はすぐに終わるだろうから、動きやすいうちに摘果を進めなければいけないが、作業の区切りがひとつついても結局忙しさに変わりはないのだ。
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日田市天ヶ瀬町
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吹き上がる温泉。
ひと月に2回くらいか。温泉を管理している集落の温泉施設から間欠泉のような高い水流が上がっている。少し離れたところに合羽を着込んだ人が機械を動かしているから、何かしら目的があるのだろう。ガスを抜く必要があるのか、他のことなのか判らないが、水流は硫黄を含んだ空気を運んで来る。山国からそこまで離れていない土地だが、山国町とは雰囲気が随分違う。
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日田市天ヶ瀬町
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玖珠町の杉林。
山国から玖珠町へ抜けるとき、気まぐれで近道の山道を通る。今日もそうだったが、山の高いところは植生が違っていて高原風景が広がっているのと、その手前の杉の林も綺麗だからだ。毎日でも利用したいルートではあるのだが、玖珠町への下りがコンクリート舗装の酷道で揺れが酷い。そのせいで交通量の多い県道を利用するしかないのが残念だ。
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玖珠町古後
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シンクイムシ。
シンクイムシが侵入した子房がときどき見られる。例年とおりの数だから心配するほどではないが、果実が熟してからの予想はつかない。袋で覆って保護するのがよいけれど、豊水幸水は無袋が一般的。シンクイムシは果実や野菜の内部に侵入して食害する蛾の総称だ。抵抗する術は、せいぜい虫罠を棚に下げて成虫を獲るくらいしかない。
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山国梨棚豊水幸水園
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アマガエル。
枝を落としていて手が止まった。アマガエルだ。枝にぴったり張り付いて姿勢を低くしたまま動かない。先日、害虫駆除の薬を撒いたから餌が少なくなっているかもしれない。豊水園で見かけるカエルはモリアオガエルが多く、アマガエルは珍しい。どちらにしろ虫を食べてくれる大事な仲間だ。
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山国梨棚豊水幸水園
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雹害。
幸水の子房が膨らむと同時に目立ってきたのが雹の傷跡だ。就農1年目に雹の被害があったが、成長と同時に傷跡は薄まったこと、量と降雨の時間が短かかったことで最終的な被害は軽微だった。子房がまだ小さいことから雹害はそれほど気にしていなかったが、今回は凍害に加えて濃密な雹が降り、弾痕も深いものがあり、思っていたより被害は大きいのかもしれない。豊水幸水の摘果は要注意だ。
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山国梨棚豊水幸水園
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大手毬が今年も満開。
隣の梨棚の駐車場も、自宅の庭も、大手毬が満開だ。小さな白い花の集合がボール状に固まって咲くため英名はJapaneaseSnowBallらしい。この花の塊は梨の花の着き方にも似ている。花芽の整理をしないまま梨の花が咲くと、数年使っている枝の花はボール状になる。大手毬はしばらくの間咲いて見る者の目を楽しませてくれ、秋になると紅葉して二度楽しませてもくれる。
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山国梨棚豊水幸水園
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膨らむ幸水の子房。
幸水の子房が膨らみ始めた。今年は新高が絶望的な状態だから、幸水への成長促進剤塗布はやらなくてよい気がしている。9月の豊水を出荷し終えれば梨がなくなるので、焦って売り切らなくてよいからだ。哀しい状況だが、良い方向に考えて旅行に出るのもよいと考えている。収入が激減するから貧乏旅行になるのだけど。
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山国梨棚豊水幸水園
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一目八景の岩山。
一目八景の見上げる岩山。ほぼ真上にレンズを向けているが、画像になるとそうでもない。いつもは閑散とした道路を、ひっきりなしに車が通過してゆくため、撮影は迅速だ。そういえばゴールデンウィークに突入しているのだった。休みなく山へ上がるから世間の暦に疎くなっている。土日も祝日もほとんど意識しない毎日。山へ上がると休みなく働く農婦さんが草刈りをやっていた。今日はこちらも草刈りの予定。バッテリーを使い切ったら梨の世話だ。
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耶馬溪町一目八景
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凍害。
午後、梨部会があり仕事の手を止めて参加する。そこで凍害を知った。今回の霜害は霜害ではなく、もっと低い気温に晒される凍害らしいのだ。暖かい日が続いた直後に氷点下まで冷え込むと、緩みかけていた花芽がやられる。山国の山はおそらくマイナス5℃まで下がったのではないか、ということだった。結果、新高は9割が受粉に失敗した。まあ、こんな年もあるのだろう。新高を主力にしているため被害は甚大だが、凹んでばかりもいられない。成長しはじめた葉をバラバラと落としながら残った幸水の剪定を続けた。
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山国梨棚豊水幸水園
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草刈り開始。
朝から草刈り。乗用の草刈機を半年ぶりに動かす。ガソリンを入れ、切断していたバッテリーを繋ぎ、チョークを押したり引いたりしてエンジンが動くまでは軽い不安が過ったりする。定期的に動かさない機械は、必ず動作するとは限らないからだ。短く薄い黒煙を吐いて草刈機がぶるぶる震えると、ようやく草刈りの開始だ。合間に肥料を撒き、草刈りが終了したのは日が傾いた頃だった。
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山国梨棚豊水幸水園
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雑草爆増。
すこし肌寒い朝。ゴム長で梨棚を歩くと伸びた雑草にしっかり濡れる。ゴム長必須の理由は何も泥地を踏むからばかりではなく、むしろ雑草の保湿力にある気がする。伸びた雑草は刈り取らないと虫やダニが木に上がりやすくなるのだが、根こそぎ刈り取ってしまうと保湿力が低下する。そこで刈り取ってしまわないよう、草刈機のブレードを調整して数センチ残るようにする。明日にも草刈機を走らせよう。
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山国梨棚豊水幸水園
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幸水の子房。
正午近くから雨。強い降りではないものの、仕事の邪魔になるのは同じだ。豊水幸水も花を落として子房を膨らませつつあり、受粉が問題なく終わったと知って一安心。ここから先は、梨の成長に充分な水が要る。水を供給してくれるのが雨雲なのだが、仕事の邪魔はしてほしくない。身勝手とわかっていても雨は深夜だと助かる。
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山国梨棚豊水幸水園
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幸水の落花。
幸水の花が風に煽られて落花の最中。幸水は豊水の合間に植えられて、それほど多くないため花吹雪というわけにはいかないが、白い花が散る姿はなかなか綺麗だ。1年でも最も気が抜けない受粉がようやく終わって、放心しつつ花を見、どこかぼんやりして剪定の続きをやっている。冷たい指先を温めながらやる剪定ではなく、暑さに服を脱いでやる剪定にはもう焦りがない。このまま摘果に流れ込んでいくだろう。
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山国梨棚豊水幸水園
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貰ったミカン。
寒かった日が去って、暖かい日が続くこの時期、すれ違う農婦さんからミカンをよく貰う。暑い日は25℃を超えるから喉の渇きにミカンを積むようになるのかもしれない。セットで貰うのは、これまたなぜか缶コーヒー。そしてミカンの品種を訊いても誰も知らないのだ。果汁が零れず乾いているけれど、やたら甘いミカン。酸っぱいが果汁が垂れるミカン。どれも美味しいのも共通している。
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山国梨棚豊水幸水園
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花を乗せて走る。
受粉が終わった翌日の今日、防除をやった。スッキリ晴れた空。農薬散布車を動かしているのはここだけではないようで、複数のエンジン音が聞こえ、そしてどの車両も500ℓタンクに大量の花びらを乗せている。散布車は加圧した空気で農薬を散布するため強い風を枝葉に吹き付ける。そのせいで受粉を終えた花が小雨のように舞い散るのだ。ようやくひと段落ついてホッと一安心と言いたいところだが、新高の受粉でどれだけ実を着けてくれるのか、ずっと気になっている。
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山国梨棚豊水幸水園
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ハコベと廃タイヤ。
フグリの次はハコベが満開だ。まだ花が裂けておらず5枚の花弁。その奥にあるのは廃タイヤの山だ。どこかで処分したいが面倒でやっていない。この廃タイヤは、その昔、春先の梨棚を温めるため早朝に燃やされたようで、霜避けとして利用されたらしい。今年は新高が霜で深刻な被害を被った。あの日にタイヤを燃やしておけば、あるいは結果が違っただろうか。
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山国梨棚豊水幸水園
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クマバチ戻る。
久しぶりの暖かい日。陽射しが戻ると、虫たちも戻った。クマバチにハチアブ。受粉を助けてくれる訪花昆虫だ。今年の受粉は明日で終わり、そのあとは防除の予定なのだが、アブラムシ対策の農薬が彼らにどの程度の影響があるのか気になる。受粉を手伝ってくれる虫に悪影響はほとんどないと農薬の説明文にはあるけれどゼロではない気もする。花が散ったあとも蜂たちは梨棚に残って付近の花を飛び回ってはいるのだが。
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山国梨棚豊水幸水園
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雹の弾痕。
雹が降ったようだ。それもけっこうな大きさ、そして量だ。こっちは知らずにいたところ、隣の梨棚の農婦さんがおしえてくれた。梨棚を見ると花が散って地面に溜まっており、出たばかりの葉があちこりダメージを受けている。子房が膨らんでからでなかったのは不幸中の幸いだと言えるが、これから先また降るかもしれない。柔らかい葉は雹の弾丸に撃ち抜かれて丸い穴が空いているものもある。寒気を伴う低気圧と雷雲。これが揃うと高い確率で雹を降らすような気がする。
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山国梨棚豊水幸水園
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新緑。
激しい雨の合間に太陽がさっと照りつけ、そのせいか緑がやけに美しく見える。運転していて気持ちがよいけれども、今日の受粉は足踏み状態だ。明日もどうなるかわからない。雨が止む頃には花が散り始めているだろう。新高の霜害といいこの天気といい今年は最悪だ。
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深耶馬溪一目八景
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幸水の花粉。
新高の受粉が終わり、豊水幸水の受粉に取り掛かっているが、気紛れな天気と気温に悩まされる。おまけに合間に防除も入れなければならず焦る気持ちばかりが募る。豊水幸水は混植してあるので互いの花粉でそれなりに受粉は完了するのだが、受粉率を安定させるために人口受粉はやったほうがよい。とはいえ明日は雨だし気温も上がらない。翌々日も雨が残る予報だ。開き直りの気分になりつつ、山を下りる前に、幸水の花粉を回収した。数日前まで賑わっていた開葯小屋は誰もおらず、開葯待ちのトレイもなかった。ただ1人、黙々と花粉を集めて瓶に詰めた。
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山国梨団地開葯小屋
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豊月開花直前。
豊月が開花しそうだ。数は少なく、おまけに接木だけなのだが、十分に成長して亜主枝が数本あり、収穫もそれなりにある。新高がおそらく壊滅している中で、葯を赤くさせて開こうとしている蕾は力強く感じる。そして不思議なことに、豊月が接木された新高のみ、新高の霜被害がほとんど見られないのだ。何かしら理由があるのだろうけれど、子房が下り、成長する時期まで待たないと生存の結果はなんとも言えない。
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山国梨棚新高園
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崩れそうな空。
雨が降りそうだが降らない。ときどき太陽が顔を覗かせ、かと思えば黒い雲が広がる。雨が降れば人工授粉は出来ない。ならば降り出すその瞬間まで作業を進めればよい、というわけにもいかない。集めた花粉は赤松子という、薬で言う基剤のようなもので量を増して使用する。この花粉は日を跨いで使えないため、途中で雨に降られると廃棄することになるのだ。どのくらいの量を用意すればよいのか、降り出す時間を正確に知らなければならず、そんな天気予報は今のところない。結局、降りそうであれば花粉を用意しないとなってしまうのだ。
Location
山国梨棚新高園
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満開の台木。
台木も満開だ。小さな白い花を無数に咲かせて、まわりの新高の受粉率を高めてくれるのだが、最終的に枝を落とし、花粉樹を接木する予定だ。順調に成長している台木は伸びが早い。来年の剪定では枝を更に張って隣の新高に届くだろう。このままでもよいかな、とも考えるけれども花粉樹の乏しい園では花粉の確保が最優先だ。来年はこの小さな花を見なくなるかもしれない。
Location
山国梨棚新高園
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立羽田の景。
玖珠町と山国町の間に立羽田の奇岩群が見られる。毎朝この山を通過して山国の梨棚へ向かうのだが、景色がとてもよい。奇岩の周りには下生えのない雑木林があり、雰囲気がとてもよいのだ。現在、蛇行する狭い道を拡張する道路工事の最中で、工事が終われば走りやすい道からこの景色が楽しめるだろう。自宅から山国までが遠くなってしまったので、景色のよい道はよい気休めとなって目を楽しませてくれる。
Location
玖珠町立羽田
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新高、開花直前。
新高の開花が近い。午前中に農薬を散布し、昼頃に新高園にある農具小屋へ移動すると、緑の点だった蕾が先を白くして膨らもうとしている。開花となれば受粉開始となるのだが、空模様がどうにも不安だ。毎年受粉時期は雨に悩まされるもので、今年もそうなりそうな気がする。開花後、受粉に最適な期間はだいたい5日間ほど。雨が続けば受粉の機会を失う。悩ましい1週間となりそうだ。
Location
山国梨棚新高園
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新高の霜害。
新高が霜にやられた。朝一で日田市の梨師匠から連絡があり、日田市では被害が大きいらしい。師匠は連絡のあと山国町まで来てくれ、山国梨棚の状態を診てくれた。結果はよろしくない。すべての花がやられているわけではないものの、看過できない被害となる可能性がある。蕾を爪で割ると雌しべが黒く汚れ、花は咲くけれど梨として結実しないのだ。これから受粉を控えて頭の痛いところだ。
Location
山国梨棚新高園
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花摘み3日目。
花摘み3日目。晴れで開始し、気温が下がって曇りで終えた。収量は3日間で最大のコンテナからこぼれ落ちるほどの花が摘めた。終わり近くになって本日分の花を摘み終えた農夫さんらが手伝ってくれたのが大きかった。そのぶん開葯作業が長引きはしたが、嬉しい開葯となった。明日が花摘みの大詰めとなるだろう。その後は新高園に少量ある花粉樹、そして幸水の花摘みで、心許ない花粉量をちょっとでも増やしたいところだ。
Location
山国町東部梨団地
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花摘み2日目。
花摘みの2日目。天気はグズついて花がいまいち開かない。午後になって太陽が出てからようやく蕾が膨らみはしたが、摘んだ花を開葯せねばならず、今日はそこまでとなった。天気がなかなか見方してくれない。特にこの時期は雨が多く、このあとに控えている受粉まで空模様には悩まされる。雨が降ると花が開きやすくはなるらしいのだけれども、気温と合間ってなかなか思うようにはいかない。
Location
山国町東部梨団地
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試しの花摘み。
午後から試しに花摘みをやってみた。気温が上がらず曇天、寒くさえ感じるせいか開花が鈍い。それでも枝によってはもう摘める状態にあるため、効率は非常に悪いけれども摘み取りにかかった。結果は少量。3時を過ぎたあたりで雨が降り出したのもあって、コンテナに僅かに溜まった花を開葯機に入れて1日を終えた。明日から摘み取り本番のつもりでいるのだが、気温や空模様が気になる。雨は勘弁してほしい。
Location
山国町東部梨団地