• |  山国町の梨農家の日記  |

  • 麦畑。

    麦畑が金色だ。風が抜けると水面のような波に揺れている。刈り取りの時期がいつ頃なのか知らないが、目を楽しませてくれる風景が消えてしまうのはちょっと残念だ。麦畑のまわりは牧草地なのか白い牧草ロールが規則的に転がされている。毎朝、この風景の中、山国の山まで走るのは苦ではない。できればもう少し近いと言うことなしなのだが。

    麦畑。

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    玖珠町山下

  • はっきりしない空。

    午前中から雨の予報だった。気温は高くない。雨に濡れれば体が冷えるだろうから午後は温泉に浸かる予定でいた。ところが正午前から青空が見え、雨が降る気配はない。降らないに越したことはないけれど、体は温泉モードになっている。広い浴槽で足を伸ばしているところを想像しつつ、結局いつもの時間まで梨棚で粘ることになった。温泉に向かったのは暗くなり始めてからだ。

    はっきりしない空。

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    山国町市平

  • 立ち枯れる竹林。

    竹林に色がない。この時期は青々としていた気がするが、葉を黄色くしてものが多く、立ち枯れているものもある。天ヶ瀬町から玖珠町、山国町の竹林も似たような感じだ。竹は花を付けると枯れると聞いた気がするが、そのサイクルは100年前後の筈。もしそうなら貴重な経験となるのだが、竹林はだいたい柵に囲まれていたりと近寄り難い場所にあり、また背も高い。竹林が消えてしまうとすれば寂しいが、花は種を落とし、その後数十年をかけて元に戻るのだそうだ。

    立ち枯れる竹林。

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    玖珠町古後

  • 苗木の灌水。

    数日前に降った雨でしばらく地面が緩かった。地面の緩みは仕事の邪魔になるものの、梨の木には水が要る。特に子房を太らせている今、雨は必須だ。数日後の今日、朝から晴れて地面が固く乾燥してしまっている。気温は25℃前後か。ポリバケツを農具小屋から取り出し、今年も苗木の水やり開始だ。草刈りが進んで苗木の樹幹を保護していた雑草を刈り取ってしまったため、これまでしっとり湿っていた苗木周りの土も固い。バケツを持って5往復。仕事を始める前にたっぷり汗をかいてしまった。

    苗木の灌水。

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    山国梨棚豊水幸水園

  • 喉の渇き。

    朝は上着がいるほど寒く、昼は暑くなる。寒暖差は10℃を超えている。この時期はまだ梨棚の中にいれば涼しく過ごせるのだが、寒い朝に準備した水が暑い昼間を想像できずに少なくて足りなくなる。山を下りる時間になると喉の渇きが我慢できなくなり、水田の水路を流れる清流のせいで道の駅に寄ってコーラを買ってしまう。体によくないと思いつつも、これが美味いのだ。

    喉の渇き。

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    山国川源流域

  • 袋掛け終わる。

    袋掛けが終わりそうだ。と言っても他所の話。梨団地の農夫さんの新高園だ。この農夫さんは他にも新高園を管理しており、続けてそちらに取り掛かる。おそらくこっちが新高の袋掛けに取り掛かる頃には終えていることだろう。仕事の早さはとても重要だ。この農夫さんと同じ速度が出せれば、草刈りも防除も、もっとゆとりを持ってやれるし、丁寧に進めることもできる。剪定、摘果、袋掛けと就農したばかりの頃より早くはなってはいる。しかし、まだまだ足りていない。

    袋掛け終わる。

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    山国町東部梨団地

  • キノコ生える。

    雨の週末。今日も夕方まで小雨に濡れた。太陽が見えたのは山を下る時間になってからだ。雑草は生き生きとしてまた伸び放題。梨棚の湿気はかなり高い。そのせいか梨の木にキノコが生えていた。キノコが生えるのは雨もあるだろうが、要因の主なところは梨の木の衰弱だ。キノコが来るとその枝はもう終わり。数年以内に立ち枯れる。今年の剪定でも多くの主枝亜主枝を落とした。気を落とす前に新植で補わないといけない。

    キノコ生える。

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    山国梨棚豊水幸水園

  • 週末は雨。

    明日はまとまった雨の予報だ。午前中は激しく降るかもしれない。豊水の摘果をやっていると、アマガエルが木に上がっていた。この小さなカエルが木に上がると天気が崩れることが多い。予報と合わせると、降らない場合の準備は必要なさそうだ。午前中は動けないだろうし、梨団地の農道は現在崖崩れで通行止め、さらに被害が拡大するかもしれない。天気予報と雨雲の動きに注意が要りそうだ。

    週末は雨。

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    山国梨棚豊水幸水園

  • 有てい果。

    今年の豊水は有てい果が多い気がする。有てい果というのは梨の花が落ち切らずに、がくの部分が子房に残った状態を指す。王冠を頂いたような有てい果は成長した梨の見た目を悪くし、品種によっては品質を落とすと言われているが、これには実感が伴わない。単に梨の尻に王冠状のヒダが残ると消費者が気にするのでは?という程度だ。とはいえ摘果では、より形のよいもの、大きいものを優先して残すので、有てい果はやはり落とすことになるのだが。

    有てい果。

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    山国梨棚豊水幸水園

  • 雨の日の山道。

    雨の朝。終日雨の予報だが、時間によって偏りがあるため雨足の弱い午前中だけでもと山国の山へ向かう。雨の日に玖珠町を抜けるのは気が進まない。細く蛇行する山道は通勤時間帯は往来が多いせいだ。先の見えないカーブで離合もあり、霧に包まれた風景を楽しんでいられない。今日も古後の奇岩群で数台の車とすれ違い、岩肌ギリギリに車体を寄せてやり過ごさなければならなかった。帰りは遠回りでも日田市を経由するのがよさそうだ。

    雨の日の山道。

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    玖珠町古後

  • ハダニ退治。

    その日の草刈りを終え、煙草に火を点け足場に腰を下ろすと、道具入れ代わりにしているコンテナで赤茶の点が蠢いていた。ハダニ。昨日のことだ。今日はちょうど前回の防除から6日目、農薬散布の予定日だ。早速、殺菌剤にハダニによく効く薬をブレンドして朝から散布して回った。結果は驚くほどの効き目。コンテナを雑草の上に置いてもハダニは上がってこない。防除暦にもダニ剤投入の時期と書かれている。そして明日は雨。水を嫌うハダニはぐっと数を減らすことだろう。

    ハダニ退治。

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    山国梨棚豊水幸水園

  • 岩の河床。

    玖珠町と山国町の間にある山。そこに流れる川はいつ見ても川底が平らだ。普通、河川の底には石や砂が堆積しているものだが、この川で見かけたことがない。川底は水平な岩で、それもまた不思議だ。これに似た川は小国町にかけて他に数箇所あり、見た目の特異さから記憶に残る。これも火山性大地の特徴なのだろうか、判らないけれども自然が豊かな山国から玖珠町への道は走って気持ちが良い。

    岩の河床。

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    玖珠町古後

  • 袋掛け始まる。

    袋掛けが始まった。と言っても山国梨棚ではない。東部梨団地でもとりわけ仕事の早い農夫さんの梨園だ。こちらはといえばようやく幸水の摘果が終わるところだ。今年の豊水は例年のとおり山ほど子房を実らせていて、まだまだ摘果に時間がかかる。新高は凍害でほぼ全滅状態とはいえ、新高の袋かけはまだ先になりそうだ。

    袋掛け始まる。

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    山国町東部梨団地

  • 伸び放題の雑草。

    雨がぱらついたが、本格的な降りになったのは暗くなってからだった。お陰で体を濡らさないで済んだ。雨は梨の成長に欠かせないが、雑草も成長させてしまう。雨が降るたび雑草は生き生きとして、刈り取ったそばから伸び始める。乗用草刈機を動かしたのはそなんに前ではない。それがまた鬱蒼と茂って足場移動の邪魔をする。雨が上がったら草刈りの再開だ。

    伸び放題の雑草。

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    山国梨棚豊水幸水園

  • 長雨。

    晴れは今日まで。これから長雨だ。予報は目まぐるしく変わり、最低でも3日の間、おそらくもっと雨が続く。摘果の時期は毎年こうだから特にどうということはないけれども、晴れに越したことはない。合羽を着込んで足場に座り込み、煙草を濡らさないようにフードに隠して火を点ける、鬱陶しい日の始まりだ。明日の昼まで空が保ってくれるとよいのだが、山の天気は読めない。雨が降れば体感温度はぐっと下がる。温泉へ逃げ込む用意をしておこう。

    長雨。

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    山国梨棚豊水幸水園

  • 田植え始まる。

    田植えが始まった。山国町から玖珠町まで山間部の狭い土地にカスケード状の田が続いている。草刈りのエンジン音が聞こえ、田を耕すための農機が走り回っていたと思えば、いつの間にか田に苗が並んでいた。日中の気温は高く、暑く感じる。農薬散布車の給油用ポリタンクを日陰へ運び、ペットボトルの水とスマホは梨棚の葉影の下へ隠す。仕事を始める前の準備は、もう夏のそれだ。虫除けのために冬用の作業シャツを着ているが、それもそろそろキツい。

    田植え始まる。

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    玖珠町古後

  • 枯れてゆく幸水。

    今年も幸水の主枝亜主枝を多く落とした。古木が多く、もう限界といった感じだ。園の平均寿命はとうに尽きている。その古木たちをあと1年、もうあと1年と酷使している。去年から幸水の苗を少しづつ植えているが、苗がすべて正常に育つとも限らない。花粉の強さから、豊水園には欠かせない幸水の混植。このぶんだと幸水の全体的な立ち枯れと終わりが想定より早く来るかもしれない。

    枯れてゆく幸水。

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    山国梨棚豊水幸水園

  • 崖崩れ。

    雨が降り始めた午後。用事で遅れて山へ上がっていると崩れた岩に遭遇する。雨が続くと土が崩れ、岩が落ちて割れるなんてことはよくある。気になったのは放置されているということだ。梨棚へ続く道は日曜日でも往来があり、静かというわけではない。おそらく崩れてすぐ通りかかったのだろう。近くの梨棚の農夫さんに連絡して呼びだし、重くて動かない岩を片付けてなんとか軽トラ1台通れる隙間を確保した。来週は雨続きだ。続けて崩れるかもしれない。

    崖崩れ。

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    山国町東部梨団地

  • 黒星病。

    幸水の葉の茎に黒星病を見つけてしまう。煙突の黒い煤のような汚れ。放置するとまわりに広がり、梨の子房が感染すると裂果して売り物にならなくなる。今年はまだ見かけていなかったのでいくらか安心していたが、防除をしっかりやっても黒星病は完全には排除できないようだ。定期的に農薬の散布をきちんとやり、時に雨天の前後は注意が必要だ。収穫期まで抑え込んでおかなければ。

    黒星病。

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    山国梨棚豊水幸水園

  • 静かな夕方。

    剪定にようやく終わりが見えてきた。遅れに遅れてしまい、摘果をやりつつだからこれがまた進まない。気がつくと日はとっくに傾いて尾根に隠れつつあり、気温も下がって上着が欲しくなる。この過ごしやすい時期はすぐに終わるだろうから、動きやすいうちに摘果を進めなければいけないが、作業の区切りがひとつついても結局忙しさに変わりはないのだ。

    静かな夕方。

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    日田市天ヶ瀬町

  • 吹き上がる温泉。

    ひと月に2回くらいか。温泉を管理している集落の温泉施設から間欠泉のような高い水流が上がっている。少し離れたところに合羽を着込んだ人が機械を動かしているから、何かしら目的があるのだろう。ガスを抜く必要があるのか、他のことなのか判らないが、水流は硫黄を含んだ空気を運んで来る。山国からそこまで離れていない土地だが、山国町とは雰囲気が随分違う。

    吹き上がる温泉。

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    日田市天ヶ瀬町

  • 玖珠町の杉林。

    山国から玖珠町へ抜けるとき、気まぐれで近道の山道を通る。今日もそうだったが、山の高いところは植生が違っていて高原風景が広がっているのと、その手前の杉の林も綺麗だからだ。毎日でも利用したいルートではあるのだが、玖珠町への下りがコンクリート舗装の酷道で揺れが酷い。そのせいで交通量の多い県道を利用するしかないのが残念だ。

    玖珠町の杉林。

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    玖珠町古後

  • シンクイムシ。

    シンクイムシが侵入した子房がときどき見られる。例年とおりの数だから心配するほどではないが、果実が熟してからの予想はつかない。袋で覆って保護するのがよいけれど、豊水幸水は無袋が一般的。シンクイムシは果実や野菜の内部に侵入して食害する蛾の総称だ。抵抗する術は、せいぜい虫罠を棚に下げて成虫を獲るくらいしかない。

    シンクイムシ。

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    山国梨棚豊水幸水園

  • アマガエル。

    枝を落としていて手が止まった。アマガエルだ。枝にぴったり張り付いて姿勢を低くしたまま動かない。先日、害虫駆除の薬を撒いたから餌が少なくなっているかもしれない。豊水園で見かけるカエルはモリアオガエルが多く、アマガエルは珍しい。どちらにしろ虫を食べてくれる大事な仲間だ。

    アマガエル。

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    山国梨棚豊水幸水園

  • 雹害。

    幸水の子房が膨らむと同時に目立ってきたのが雹の傷跡だ。就農1年目に雹の被害があったが、成長と同時に傷跡は薄まったこと、量と降雨の時間が短かかったことで最終的な被害は軽微だった。子房がまだ小さいことから雹害はそれほど気にしていなかったが、今回は凍害に加えて濃密な雹が降り、弾痕も深いものがあり、思っていたより被害は大きいのかもしれない。豊水幸水の摘果は要注意だ。

    雹害。

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    山国梨棚豊水幸水園

  • 大手毬が今年も満開。

    隣の梨棚の駐車場も、自宅の庭も、大手毬が満開だ。小さな白い花の集合がボール状に固まって咲くため英名はJapaneaseSnowBallらしい。この花の塊は梨の花の着き方にも似ている。花芽の整理をしないまま梨の花が咲くと、数年使っている枝の花はボール状になる。大手毬はしばらくの間咲いて見る者の目を楽しませてくれ、秋になると紅葉して二度楽しませてもくれる。

    大手毬が今年も満開。

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    山国梨棚豊水幸水園

  • 膨らむ幸水の子房。

    幸水の子房が膨らみ始めた。今年は新高が絶望的な状態だから、幸水への成長促進剤塗布はやらなくてよい気がしている。9月の豊水を出荷し終えれば梨がなくなるので、焦って売り切らなくてよいからだ。哀しい状況だが、良い方向に考えて旅行に出るのもよいと考えている。収入が激減するから貧乏旅行になるのだけど。

    膨らむ幸水の子房。

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    山国梨棚豊水幸水園

  • 一目八景の岩山。

    一目八景の見上げる岩山。ほぼ真上にレンズを向けているが、画像になるとそうでもない。いつもは閑散とした道路を、ひっきりなしに車が通過してゆくため、撮影は迅速だ。そういえばゴールデンウィークに突入しているのだった。休みなく山へ上がるから世間の暦に疎くなっている。土日も祝日もほとんど意識しない毎日。山へ上がると休みなく働く農婦さんが草刈りをやっていた。今日はこちらも草刈りの予定。バッテリーを使い切ったら梨の世話だ。

    一目八景の岩山。

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    耶馬溪町一目八景

  • 凍害。

    午後、梨部会があり仕事の手を止めて参加する。そこで凍害を知った。今回の霜害は霜害ではなく、もっと低い気温に晒される凍害らしいのだ。暖かい日が続いた直後に氷点下まで冷え込むと、緩みかけていた花芽がやられる。山国の山はおそらくマイナス5℃まで下がったのではないか、ということだった。結果、新高は9割が受粉に失敗した。まあ、こんな年もあるのだろう。新高を主力にしているため被害は甚大だが、凹んでばかりもいられない。成長しはじめた葉をバラバラと落としながら残った幸水の剪定を続けた。

    凍害。

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    山国梨棚豊水幸水園

  • 草刈り開始。

    朝から草刈り。乗用の草刈機を半年ぶりに動かす。ガソリンを入れ、切断していたバッテリーを繋ぎ、チョークを押したり引いたりしてエンジンが動くまでは軽い不安が過ったりする。定期的に動かさない機械は、必ず動作するとは限らないからだ。短く薄い黒煙を吐いて草刈機がぶるぶる震えると、ようやく草刈りの開始だ。合間に肥料を撒き、草刈りが終了したのは日が傾いた頃だった。

    草刈り開始。

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    山国梨棚豊水幸水園